座り続けた体を戻す動き
股関節の前側とお尻まわりを緩める動き、腰を反らせずに背骨を動かす動き。休憩に入ったとき、荷役に取りかかる前に行うことを想定しています。
座り続ける姿勢と、荷物の上げ下ろし。運転職の身体的な負担に、運行の合間にできるセルフケアをお伝えします。
運送業には、他の業種とは異なる負担のかかり方があります。
一日の大半を運転席で過ごし、体を大きく動かす機会がない
荷役作業では中腰と持ち上げの動作が繰り返される
一人で運行する時間が長く、不調を口に出す相手がいない
運転席では、骨盤が後ろに傾いた状態で長く座り続けます。股関節の前側とお尻まわりは縮んだまま動かず、腰は反対に引き伸ばされ続けます。降りたときに腰が伸びない、立ち上がるまでに時間がかかるという感覚は、この状態が続いたあとに出やすくなります。
デスクワークと似ていますが、運転中は前方から目を離せず、座り直すこともしにくい状況です。同じ座り仕事でも姿勢を変える余地が少ない点が、運送業の特徴です。
長時間の運転の直後に荷物の上げ下ろしが始まると、固まったままの状態で中腰になり、持ち上げの動作を繰り返すことになります。体が動く準備ができていない状態で負荷をかけると、腰への負担は大きくなりやすくなります。荷姿や積み方が毎回違えば、無理のある向きで持ち上げる場面も出てきます。
荷役の内容は事業者ごとに大きく異なるため、台車が使える現場と手積み手降ろしの現場では、お伝えする内容も変えています。
工場や事務所であれば、隣の同僚に「腰が痛い」と言える場面があります。運行中はその相手がいません。口に出す機会がないまま次の運行に入るため、管理側が不調を把握できるのは休みの連絡が入ったときになりがちです。ドライバーの人数に余裕がない現場では一人の離脱が運行計画に影響するため、本人が早い段階で気づける状態をつくることに意味があると考えています。
運転席と車の脇でできる動きを中心に組み立てます。
運送業では「マットを敷いて床で行う」「広い場所で伸ばす」といった前提が使えません。お伝えする内容は、次の条件を満たすものに絞っています。
股関節の前側とお尻まわりを緩める動き、腰を反らせずに背骨を動かす動き。休憩に入ったとき、荷役に取りかかる前に行うことを想定しています。
中腰で腰にかかる負担を減らす足の置き方、荷物に体を近づける手順、持ち上げる前に確認したいこと。荷役の内容に合わせて整理します。
呼吸を使って緊張を下げる方法、気持ちが張り詰めた時の切り替え方。運行の合間に一人で行えるものを中心に選びます。
点呼や面談で体調の話を切り出しやすくする言葉の選び方。本人が言い出しにくい環境を前提に、管理職と運行管理のご担当者向けにお伝えします。
お伝えするのはセルフケアと予防の方法です。医療行為は行いません。痛みが強い場合や長く続く場合は、医療機関へのご相談をおすすめしています。
運行の合間に使える時間はまとまって取れません。5分あるか分からない状況で、10分かかる内容は実行されません。ひとつずつを短くし、思い出した順に行える形でお伝えします。お渡しする動画も、必要な部分だけを見て実践できる構成にします。
運送業でいちばん大きな壁になるのは、内容ではなく時間の確保だと考えています。集合研修を前提にしない形をご用意しています。
| 実施の形 | 想定する場面 | 補足 |
|---|---|---|
| 短時間版を複数回 | 点呼後や帰庫後の空き時間 | 1回を短く区切り、同じ内容を班やシフトごとに分けて実施します。 |
| 90分体験プログラム | 全体会議や安全会議のとき | すでに全員が集まる機会があれば、その枠に組み込む形が最も負担が少なくなります。 |
| オンライン | 拠点が複数ある場合 | 複数の拠点をつないで実施できます。録画を残すかどうかはご相談時に取り決めます。 |
| 動画の配布 | 各自の休憩時間 | セルフケア・メンタルケア動画をお渡しし、運行の合間に見て実践いただきます。実施回に出られなかった方の補いにもなります。 |
実施回を分けると内容にずれが出ることを心配されますが、同じ内容を同じ順序でお伝えし、配布する動画も共通にするため、受け取る情報は揃います。
実施日程は繁忙期を伺ったうえで決めます。所要時間と実施回数の目安は、ドライバーの人数と拠点の数を伺ってからご案内します。
セルフケアの指導は2008年から行っており、延べ4,000名以上をサポートしてきました。腰痛セラピスト養成講座では2025年10月時点で230名以上を輩出し、KADOKAWAより書籍を2冊出版しています。
一方で、これまでの研修実施は製造業、士業・専門サービス、学校・教育機関、商工・経営者団体、自治体・市民講座が中心で、運送業での実施実績はこれから積み上げる段階です。他社の事例を根拠にお勧めできませんので、貴社の運行体制と荷役の内容を伺いながら組み立てます。
各実績は協会・アカデミーの公表値に基づきます。
運送業の安全管理では、運転者の体調の把握が欠かせません。体調が整っていない状態で運行に出したくない、という考えはどの事業者にも共通するものだと思います。
そのうえで、本プログラムが事故を防ぐと申し上げることはできません。お伝えしているのは、従業員が自分の体の状態に気づき、不調が大きくなる前に手を打てるようにするための方法です。「いつもより腰が重い」「眠りが浅い日が続く」といった変化に本人が気づける状態は、点呼で体調を確認する場面でも役立つと考えています。
2か月トライアルモニターでは、事前と事後に同じ設問へ回答いただき、不調レベル、疲労感、睡眠満足度、セルフケアの実施状況を記録します。運送業では「運行の前後で体の重さがどう違うか」「休憩時にセルフケアを行えたか」といった現場の実感に近い設問を加えることをご提案しています。
どの程度の変化が出るかをお約束するものではありませんが、記録が残っていれば社内で振り返る材料になります。回答は個人が特定されない形で集計し、レポートには拠点単位・全体単位の傾向として記載します。
まずは90分体験プログラムで内容をご確認いただき、そのうえで2か月トライアルモニターで前後の変化を測る流れをおすすめしています。運行への影響が読めない段階で、いきなり2か月を判断する必要はありません。
初回のご相談では、車両台数とドライバーの人数、荷役作業の有無と内容、拠点の数、点呼の運用方法、繁忙期の時期を伺います。これらが分かれば、実施の形と回数の案をお出しできます。
費用は従業員数と実施内容によって変わるため、内容に応じてお見積りします。金額はご相談時にご案内します。
研修と組み合わせやすい制度がある場合は、制度情報の提供と該当可能性の簡易確認まで承ります。制度の種類は使える助成金・補助金で整理しています。助成金の申請支援は、連携する社会保険労務士が対応します。制度内容は変更される場合がありますので、最新の要件は実施機関の公表情報をご確認ください。
従業員数や課題に合わせて、実施内容をご提案します。ご相談は無料です。